2017.12.07 OFFICE

デザイン思考を生む、垣根を越えたコミュニケーション

垣根を越えたコミュニケーション

交流会などで「フリーのデザイナーで、一人で食っていく分くらいはなんとか稼いでます。」という人と出会ったら、あなたはどう思うか?

その人は自分とは関係のない人種だ、と思った方はぜひ読み進めてほしい。本音を言うと、そうでなくても読み進めてほしい。論理的思考とデザイン思考について触れながら、経営者・ビジネスマンがデザイン思考を鍛えるために、自分と関係のなさそうな人とガンガン付き合って新しい価値を作っていこうよ、という話。

「ビジネスマン」と「デザイナー」の接点の少なさ

分かりやすくするためにざっくりと「ビジネスマン」と「デザイナー」という二種類の人たちがいるとする。

僕は税理士事務所に5年間勤め、事業会社に転職した後、経営コンサルタントとして独立した。間違いなく「ビジネスマン」に分類される人種だ。税理士事務所時代、クライアントを含め多くの方と関わったが「デザイナー」という人種に出会うことは無く、個人的な感覚としては芸能人のように全く異世界の人たちだと思っていた。パンフレットなんかは制作会社(デザイナーに指示を出す人たち)にお願いをするか、簡単なものなら自分でワードで作る。それが普通。

独立してから、人脈を広く作っていかなければと色々な場所に顔を出すようになった。すると、デザイナーと呼ばれる人が山ほどいた。それはそれは思った以上にたくさんいた。
僕が自己紹介をすると、「君みたいな人と出会うのを待っていた!」といった内容のことをよく言われた。お金や法律のことに精通している人間にはなかなか出会わなかったそうな。僕としては、僕みたいな人種は山ほどいるし、逆にこちらとしてももっと早く出会いたかったよ!と言う感じ。お互い数としてはそこそこいるのに出会わないのは、そもそも顔を出す場所が違っただけだった。

ビジネスマンとデザイナー
ビジネスマンとデザイナー

「ビジネスマン」と「デザイナー」の思考法

「ビジネスマン」と「デザイナー」。彼らが手を組むべきなのは、経験からなんとなく分かる。彼らは持っている技術が全然違って、それらはお互いをサポート出来るものだ。ビジネスマンは頭の中を整理して可視化することが出来るデザイナーの力を借りるべきだし、デザイナーは仕事を管理したり仕事の取り方を知っているビジネスマンに頼るべき。僕だってこの記事に貼り付けている絵を上手に手早く描いてくれる人が隣にいたらどんなに良いかと思う。。

でも、本当に大切なのは技術ではなくて、思考方法。彼らは考え方がまるっきり違う。
ビジネスマンが求められ鍛え上げてきたのは論理的思考(ロジカル・シンキング)と呼ばれるもの。対してデザイナーは一般的にデザイン思考(デザイン・シンキング)と言われる思考で物事を捉える。

これらを説明するために簡単な例だけを挙げる。論理的思考で物事を始めようとするとまずリサーチから入る。なぜなら物事を始める「理由」が明確である必要があるから。物事に根拠を求め、それはデータとしてまとめられ証明される。「なぜ?なぜ?なぜ?」と繰り返すスタイル。
デザイン思考によって物事を始める場合には、「とにかくやってみる」。問題解決のためにプロトタイプをガンガン作り、精査し、改善、時に破壊して良いものを作り上げていく。「それいいね!試しにやってみよう!」というスタイル。

どちらの思考法が良いと言うことはなく、適材適所。ざっくり言うと新しいことを始める(問題解決方法を考える)時に関してはデザイン思考が向いていて、それらを評価したり管理するのは論理的思考が向いている。

論理的思考とデザイン思考
論理的思考とデザイン思考

技術よりも考え方をシェアする時代

AIの技術が発達しコンピュータで大抵のことは出来るようになってきた。もちろんまだまだ人の手は必要だが、10年前には「クラウド」や「SNS」が出始め流行し始めた頃だ。今や誰もが持っているスマートフォンも、まだ少数派だったように思う。もう10年遡れば、電話線でインターネットを繋いでいた時代で、母親から「電話代が高いからインターネットを控えなさい」と言われた記憶がある。
では、今から10年後には人の手はどれほど必要なのか?どれほどの技術力が求められるのか?

そして、イノベーション、イノベーションと叫ばれる今、ビジネスマンには新たにデザイン思考が求められるようになった。新しいものをボコボコと作り続け、時代を引っ張っていかなくてはいけない。そのためには、既存のニーズを調べるリサーチではなく、潜在的なニーズを掘り起こす必要がある。新しい価値を創出することこそイノベーションである。

改めて冒頭の質問をする。

「フリーランスのデザイナーで、一人で食っていく分くらいは稼いでます。」と言う人をどう思うか?

デザインは制作会社に頼んでるから関係ないや。値段に見合った仕事をしてくれるだろうか。仕事の進め方は大丈夫かな。
色々考えると思う。でも、相手を技術や予算的な面だけで評価し「仕事で使えるか使えないか。仕事をくれる人かそうでない人か。」と判断するのではなく、どんな考え方や価値観をもっているのだろう、デザイン思考で今まで自分に無かった発想を膨らませてくれる人かもしれない、と捉えると途端にもっと話をしたくなる。仕事を与える、仕事をもらうというレベルの話ではない。
ちなみにデザイン思考は「共感」をベースにしており、異文化を持つ人たちと交流し多様な価値観を受け入れることを推奨している。「自分とは関係ない」と感じる人を受け入れることはデザイン思考を身につける上で貴重な第一歩。

思考をシェアする
思考をシェアする

コミュニケーションは垣根を超えなければならない

これからの時代、コミュニケーションは垣根を越えなければならない。僕は経営コンサルタントや代表取締役なんて言う仰々しい肩書がある(肩書だけ笑)けど、コーヒー屋さんでもあってエプロンを身に着けて1杯400円でコーヒーを売っている。「コーヒーが好き」と言う理由も大きいが、それ以上に誰もが気軽に会いにきて欲しいから。僕と言う人間と出会うことのハードルを下げたかった。

ここで言いたいのは複数の仕事を持てということではない。別に複数の仕事を持つことが魅力的だとは思わないし、推奨する訳でもない。それよりも、幅広い価値観を受け入れ、様々な人と付き合い、意見交換を出来る環境に身を置くことが大事だと思う。それが人によっては複数の職業を持つことになるのかもしれないし、GROVING BASEのようなシェアオフィスやコワーキングスペースに拠点を持つことかもしれない。他の方法だってまだまだある。

京都には老舗で大きな企業も多い反面、多くの人が他の場所から集まってくるため新しいことも起きやすい場所だ。GROVING BASEではそんな土地柄も活かしつつ、垣根を越えたコミュニケーションを生むための工夫をこれからどんどん増やしたいと思う。個室のレンタルオフィスに加え、コワーキングスペースや、イベント用のレンタルスペース、カフェなどもあり、色々な人が色々な目的を持って集まるためのハードは揃っている。でも、僕自身は論理的思考が強いし、もっと自分とは違う発想を持つ人が集まってくることでソフト面をさらに充実させたいと思っている。

垣根を越えたコミュニケーションが活発に起こる場所作りに関わってくれる人はいつだって募集中です。

垣根を越えたコミュニケーション
垣根を越えたコミュニケーション