2021.09.24 OFFICE

持続可能な農業のあり方を、京都から│気になるおとなりさんvol.4 小島怜さん

GROVING BASEを利用する人を紹介する「気になるおとなりさん」。GROVING BASEを拠点とする人、サテライトオフィスにしている人、イベントの開催場所として利用する人、ふらりとコワーキングスペースやカフェに立ち寄る人……。GROVING BASEを活用し、様々なスタイルで活躍する人たちを紹介します。

第4弾に登場いただくのは、OYAOYA(おやおや)代表の小島怜(こじまれい)さん。

現在23歳の小島さんは、大学在学中に起業。「美味しい農ある暮らし」をコンセプトに、乾燥野菜を使ったブランドを展開されています。

GROVING BASEの第一期アンバサダーも務める、小島さん。
どのような想いで、事業を展開されているのでしょうか?お話を伺いました。

自分の力で、しっかり稼げるように。WEB業界からのスタート

ー大学在学中に起業した小島さん。どんな大学生活を送ってきたのですか?

僕は、生まれも育ちも京都です。大学時代は、立命館大学の文学部・地域研究学域で、農業地理学を勉強していました。

入学当時は、農業に対してそこまで強い思い入れがあったわけではなく……。指定校推薦で選べた専攻の中で、一番興味があった分野に進んだ感じです。ずっとサッカーが趣味で、海外のチームの国旗を調べたり、地球儀を見たりするのが好きだったので、地域のことを勉強しようという、ちょっと軽い気持ちでしたね(笑)

そんな中、大学2回生のときに、初めてタイに行きました。この時の感動がとても凄くて、いつかは海外に住んでみたい、そのためには自分の力でしっかり稼げるようになりたいと、強く思ったんです。

「手に職」といえば、エンジニアなのかなと、WEB系の会社でインターンをはじめました。

 

ー農業でなく、WEB業界からのスタートだったんですね。

最初は独学でコードを書いて、システムをつくっていました。そこから徐々に、フロント側の構築をするようになり、最終的にはホームページの制作を。ちなみに、そのときの経験は今も生きていて、OYAOYAのホームページも、僕がつくりました。

2019年の12月、友達とベトナムに行きました。そのとき、改めて外国に住みたいな、暮らすなら東南アジアが良いなと思って(笑)

ただ、その直後にコロナの影響があちこちで出始めました。コロナが明けたら、外国に住めるようにお金をいっぱい貯めなきゃなと、友人を誘って起業をすることにしたんです。勝手にLINEグループをつくって、すぐに動き出すという、かなり強引なスタートでしたね(笑)

会員インタビュー

農業の2つの課題を解決したい

ーそこから、どのように農業に行き着いたのでしょう?

昨年2020年の5月、はじめての緊急事態宣言が終わった頃は、ずっと実家にいて、正直かなり暇をしていました。時間があると色々アイディアが湧いてくるので、「シェアハウスをやってみたいな」と、深夜にふと思い立ったんです(笑)

SNSを見ていたら、福知山でシェアハウスをやっている大学生をたまたま見つけたので、連絡を取り、落ち着いたタイミングで会いに行きました。3ヶ月くらい滞在させてもらう中で、万願寺とうがらしを育てている農家さんを案内してもらって。

そのときに、農業の「2つの課題」を目の当たりにしました。これはなんとかしたいな、事業にして課題解決できないかなと考え始めたんです。

 

ー「2つの課題」とは、どういうものですか?

1つ目は、「規格外野菜」についてです。
野菜は上から順番に、秀・優・良などのランクがつけられています。例えば、その農家さんの万願寺とうがらしは、秀だと1kgで大体1,000円以上の価格帯。ですが一番下のランクになると、4分の1程度に落ち込んでしまうんです。味は全然問題ないのに、曲がっていたり、少し傷がついたりしているだけで、ランクが落ちたり、捨てられたりしてしまうものも沢山あって……。資材代や輸送費を差し引けば、まったくと言っていいほど、手元にお金は残りません。

2つ目は、「流通」についてです。
農家さんは自分で販路を開拓するのが大変ですし、大体は決まった卸売に納品されています。すると、どうしても消費者の方との接点が薄くなってしまいますよね。反応が見えなければ、やりがいが薄れてしまう原因にもなります。

お世話になった若手の農家さんは、「5年後は続けていないかもしれない」とまで話されており、農業存続の課題を、どうにか解決できないかと強く感じました。

 

ーそこから、どうやって事業を考えたのですか?

最初は何も知識がなかったので、何度も色々な農家さんのところにお邪魔をし、お話を聞かせていただきました。そしたら、今も提携をさせていただいている農家さんが、乾燥野菜をつくっていらっしゃったんです。そのときはプラの容器に入れ、シールを貼って販売されていたのですが、10年間やってもほとんど売れていないそうでした。

商品自体は素晴らしいものでしたし、きちんと企画をして、パッケージを変えたりWEBを整えたりと、リブランディングのお手伝いをしたいと思ったんです。

乾燥野菜だったら規格外野菜を活用できますし、新しい販路の拡大にも繋がります。これなら農家さんにとっても、必ずメリットになる。そう確信して、農家さんにも応援していただきつつ、商品の企画がスタートしました。

会員インタビュー

乾燥野菜は、京都の文化にもぴったり

ー商品の売れ行きは、どうでしたか?

最初は今年の3月に、四条烏丸の『大垣書店』で販売しました。40個並べて、すべて完売。そこからInstagramを通しても売れていき、好調だなと思っていたのですが、7月が全然だめで……。なんとかしなきゃとお客さんにヒアリングもして、アウトドア向けの商品を企画したり、見せ方を変えていったりしたんです。

すると、売れ行きも回復して、京都新聞にも取り上げていただきました。四条河原町の『GOOD NATURE STATION』でも、毎月の展示・販売が決定。多いときは、3日で500個くらい売れたこともありました。

 

ー3日で500個!すごいですね!

おうち時間も増えていることもあって、健康志向の方がよく購入されています。
ギフトとしての需要も高く、この間は一度に13セット、30個近く買っている方もいらっしゃいました。

乾燥野菜は、水分をなくすことで中身がぎゅっとつまるので、食物繊維が増えると言われています。例えばニンジンだと、乾燥野菜にすることで、食物繊維の量が10倍近くになるんですよ。しいたけは、むしろお腹がゆるくなるくらい、便秘の解消にも効果的です。

そして一番面白いのは、野菜の美味しい出汁がしっかりと出ること。水で戻したり、鍋で煮込んだりすると、野菜のうまみが溢れてくるんですよ。京都は出汁の文化がありますし、ぴったりだなと思いますね。

 

ー農家さんの反応はどうでしたか?

自分たちの商品がしっかりと売れたことで、農家さんもやる気になっていることが嬉しいです。農地も定期的に訪れているのですが、「これはどうかな!?」と知らない野菜をいつの間にか育てていることもあって(笑)

今では、京丹後で4軒、京丹波町で2軒の、合計6軒の農家さんと取引をさせていただいています。

 

ー乾燥野菜としての事業が、順調に成長していったんですね。

ただOYAOYAは、「美味しい農ある暮らし」がコンセプトなので、乾燥野菜メーカーに特化するつもりはありません。いつかは京都以外も範囲を広げて、その土地ならではの事業をしていきたいなと思います。個人的にはベトナムが好きなのですが、胡椒やコーヒーも有名ですし、面白い展開ができそうだなとワクワクしているんですよ。

ただ手を広げすぎて迷惑をかけてしまっても良くないので、今後も信頼できる農家の皆さんと、しっかりと事業を進めていきたいと思っています。

そして、もっと頑張らなきゃなと感じているのは、ストーリーをしっかりと伝えること。農家さんの想いや育て方など、まだまだ発信できていないことは沢山あるので……。最近は自分で農家さんの写真や動画も撮影しているのですが、何かしらのかたちで届けていきたいなと思います。

新しい時代の八百屋になりたい

ーこれからの活動も、楽しみですね。

京都は、首都圏に比べたら若い企業家が少ないので、チャンスに満ち溢れています。また老舗の飲食店も多く、若手を応援してもらえる土台が整っているなと感じますね。

学生時代に強引にスタートさせた事業ですが、本当に色々な方にお世話になり、今まで続けてくることができました。新卒で就職しなきゃと迷う暇もなく、気づいたら走り始めていた、という感じです。つい最近まで安定した販売ができず、ずっと不安はありました。ただ、沢山の方々に支えられていますので、僕一人の不安だけで投げ出すわけにはいきませんよね。

 

ー最後に、小島さんの目標を教えてください。

OYAOYAは、「八百屋」に、京都っぽい「お」をつけた名前です。目標にしているのは、八百屋のように農家さんときちんとやり取りをし、消費者の方にも野菜の魅力を伝えられるような、身近な存在になること。「美味しい農」を通して皆さんの健康を支え、農家さんの利益を守りつつ、繋がりをつくっていく。新しい時代の八百屋として、ここ京都から、持続可能な農業のあり方を育てていけたらと思います。

小島怜(こじまれい)
OYAOYA 代表
https://oyaoya-kyoto.com/

聞き手:小黒恵太朗(株式会社アイトーン)