GROVING BASE内に併設されるカフェ『GROVING KITCHEN』の厨房は、代表・篠田さんの奥さんであるゆみこさんが担当されます。彼女がどういった経緯で『GROVING KITCHEN』を担当することになったのか、どんな想いで『GROVING KITCHEN』を育てていきたいかを伺いました。
ーー今回GROVING KITCHENで料理を担当されるのですが、料理は昔からずっとされていたのでしょうか?
料理は結婚してからするようになりました。結婚するまではずっと実家暮らしだったので、自分が作る機会もなかったんです。でも別に作ることに抵抗はなくて、むしろたまに作るときとかは楽しいと思って料理はしていました。
でも今思えば子供の頃、母親がいないときにお遊びで、レストランごっこをしていたんで元々好きだったのかもしれないですね。
ーーおままごとセットで、ですか?
いえ、実際に料理を作ってたんです。妹をお客さんと見立てて(笑)。見つかったら怒られると思っていたので、ばれないようにこっそりと。
ーー実は小さい頃から料理をしていたんですね。
そうなんです。でも料理が好きだと思えて、かつ打ち込めていいなって思ったのは、長男の離乳食を作り始めてからですね。子供が生まれるまでは、代表の篠田はうまいうまいって言ってくれるので、凝ったものを作ろうとは思っていなくて。でもこの子の離乳食作り始めて、料理に対してすごく興味が湧いたんです。「こうだったら食べなかったものが、こうしたら食べれるようになってくれた」とか、「味付けを自分なり工夫して変えたら食べてくれた」とか。形を変えたり、ゆで時間変えたり、そんな些細な変化でご飯を食べてくれることがとにかく嬉しくて。そこから料理がとてもやりがいのあることだと思えるようになりました。
ーー料理好きがこうじて、GROVING KITCHENの料理を担当されることになったということでしょうか?
ずっとこのビルの話は聞いていて。元々飲食系のテナント入れようかなって言っていたし、「それ面白そう、やりたい!」と自分から手を挙げました。オープンするまでは不安でしかないですけどね(笑)。自分のお店を持つことにも興味があったということもあります。
ーーなるほど。
代表の篠田が働いてたときも、お弁当はいつも作っていたんです。たまに作れなかった日に「何食べた?」と聞くと、ファストフードばかり食べていて。「自分で作ってあげて、栄養のあるご飯を食べてもらいたかったな」と後悔することもありました。せめて彼の職場の近くに、せめて栄養のあるご飯を食べれるお店があればいいのになあと思っていました。
お弁当作れないっていう時はどんな家庭にもあるだろうし、そういうときに旦那さんに栄養あるもの食べてもらえたら安心するだろうなと思うんです。GROVING KITCHENではビルに入居している方々に、美味しくて、栄養あるご飯を提供したいを提供したい。それで、このビルで働いているご家族の方にも、「あそこでご飯食べているなら安心」と思ってもらえるような、そんなご飯を作っていきたいと思っています。カフェ、って外向けには言ってますけど、私的には食堂のおばちゃんみたいなイメージなんです(笑)
ーー今のお話を聞いていたら、食堂っていうイメージがしっくりきました。
今はかなり大風呂敷を広げて、コーヒーやら、スイーツやらの話もしています。
ーー干し野菜を使った料理がメインになるかと思うのですが、なぜ干し野菜になったのでしょうか?
よく図書館で料理本をよく探してたんです。そこで干し野菜というキーワードを目にしていて、ずっと気になっていたんです。でも子供もいるし、手間かかることはできないなと思っていて、そのままになっていました。
そうこうして、GROVING KITCHENをやることになっていろんなカフェに足を運んで料理の研究をしていたんです。どういうご飯がカフェでは提供されていて、共通点はないかな、とかそういう視点でいろんなカフェを回りました。そこで私なりに気づいたカフェごはん共通点が、差し色が『くすみ色』ということ。例えば紫なら、紫キャベツとか紫の玉ねぎが入るだけで一気におしゃれに見える。茶色なら、マッシュルームを生で出してたりとか。くすんだ色っておしゃれに見えるなあと思って。そんなことに気づいたときに、頭の中にあった干し野菜が繋がって、「GROVING KITCHENでも使えるしやってみよう!」となったのが提供しようと思ったきっかけです。調べていくと、野菜は干すことで味が濃くなって美味しくなるし、栄養素が高くなるし……と良いことづくめなので干し野菜を使おうと決意しました。
ーー干し野菜って、作るのに手間がかかりそうですね。
いえ、とっても簡単ですよ。皮もむいたらダメだし。できれば洗わずに。どうしても洗わないけないやつでも拭くだけです。基本手順は切って、干すだけ。でも、ものによって時間が違ったりとか、料理に使うものによって干し加減変えたりとかはあるので、そういう点にだけ気をつける感じです。
ーー生野菜を食べるよりも栄養価が高い、ってことなんですよね。
高くなります。食感も味も変わりますし。
ーー味も変わるんですね。甘くなるとか?
味が濃くなりますね。玉ねぎなんかはわかりやすく、とても甘くなります。逆に言うと調味料を、味を濃くせずとも食べれるので、薄味にも挑みやすくなります。減塩でも十分美味しいんです。素材の味をより味わってもらえるように、工夫しやすくなりました。
ーー利点だらけですね。
直感で始めたのですが、想像以上に良い方向に作用しています。
ーーGROVING BASEのコンセプトについてはどう思われていますか?
このビルのコンセプトは代表の篠田と2人でずっと話をしていたことです。家族である私たちだから、できたし、私と篠田の総意というか。私たち家族自体がありたい姿をこのビルを通して作っていきたいと思っています。
ーー篠田さんが外で働かれていて、その姿をもっと見れたらなっていう気持ちもありますか?
そうですね。私もなんですけど、何より子供達に篠田が働いている姿を見せれたらいいなと思っています。私の父は忙しく仕事をしている人でした。実際どんな風に働いているのか、どんな仕事しているのかは子供の頃全く知らなくて。だからなんで遊んでくれないのか?とかも理解できてなかったんですよね、子供の頃は。
ーー実際に見ないと何をしているかはわからないですもんね。
親が仕事をして、お給料をもらっている姿を見て。お父さんが働いているから、このお茶が飲めてるんだとか、おやつ食べれるんだということを子供にわかってもらうことも、いいことなんじゃないかなと思っています。
ーー最後に、GROVING KITCHENのビジョンがあれば教えてください。
「たまには栄養取れるごはん屋さん行こか」みたいに、多くの人の選択肢の一つになりたいと思っています。
ーーそれは家族でもってことですか?
もちろん家族でも。
ーーありがとうございました。GROVING KITCHENがたくさんの人の笑顔が見れる場所になることを楽しみにしています。