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多様化する時代だからこそ、自分の信念を大切に -加登遼さん

気になるお隣さん

GROVING BASEを利用する人を紹介する「気になるおとなりさん」。GROVING BASEを拠点とする人、サテライトオフィスにしている人、イベントの開催場所として利用する人、ふらりとコワーキングスペースやカフェに立ち寄る人……。GROVING BASEを活用し、様々なスタイルで活躍する人たちを紹介します。

第3弾に登場いただくのは、大阪市立大学の大学院で助教をされている、加登遼(かとうはるか)さん。
研究や学生の指導に力を注ぐ一方で、GROVING BASEも位置している「京都修徳学区」のまちづくりにも携わっています。

コロナ禍の中で、これからの暮らし方・働き方はどのように変化していくのでしょうか?お話を伺いました。

曖昧なことを、データで明らかに

―大学では、どのようなことをされているんですか?

私は、生活科学研究科で教員をしています。研究テーマは「ウォーカビリティに着目した人口減少する居住環境のデザイン」。ざっくりと言えば、人口が減少する社会の中で、豊かな暮らしを支える居住環境をどのように実現していくか、ということですね。

その他、立命館大学のOIC総合研究機構・地域情報研究所で、客員研究員もしています。研究者の立場ではありますが、自分自身もまちづくりに携わっています。

―興味深かった研究はありますか?

コロナ禍が続いていますが、その中でどう生活が変化したのかって、分かりそうで分からない部分も多いと思います。例えばTVでは、駅付近の人の流れが何%減りましたと、よく報道されていますよね。最近それをGPSビッグデータを使って、きちんと追跡調査したらどうなるのか、という研究をしています。

調査エリアは、大阪の茨木市。住民の多くが、梅田や京都などの市街地で働かれているのが特徴です。2019年と2020年の、コロナの流行前後の人の動きを比べてみると、自宅からの移動距離が約半分に落ち込んでいるんです。緊急事態宣言が発出されてからは特に顕著で、ゴールデンウィーク期間中は、ほとんど移動が見られません。つまり、皆さんがきちんと外出や移動を自粛されていたことが、データによって裏付けられたんです。

―曖昧にしか理解できなかったことが、データで明らかになったんですね。

また、GPSの加速度計を用いると、徒歩や車といった移動手段を推定することもできます。すると、2020年はわずかながら、自転車で移動する方が増加していました。車で遠出をするのではなく、自転車で行ける範囲で買い物をするなど、暮らし方が徐々に変化していると推察されます。

自分の地域で過ごす時間が増えれば、地元のお店や商店街が注目を集める機会も増えますよね。暮らし方や消費行動の変化が、地域活性にうまく繋がっていったら良いなと考えています。

よりローカルな暮らしが当たり前になる

―京都のまちづくりで、感じることはありますか?

京都は、どこも熱心にまちづくりをされていますよね。そしてどのエリアにも共通して言えるのは、子どもを大事にしていること。互いが互いを気遣いあって、サポートする文化があるのは凄いことだと思います。

―加登さんは、京都でどのような活動をされているんですか?

私が暮らしているのは、GROVING BASEが立地する「修徳学区」。その中で「修徳まちづくり委員会」や「修徳景観づくり協議会」「修徳消防分団」などに所属して、活動をしています。修徳という名前は、今の下京図書館の場所に立地していた修徳小学校にちなんだもの。ちなみに修徳小学校は、伊藤博文が命名した、京都で一番最初にできた小学校とされているんですよ。

まちづくりと名前がつく組織はたくさんありますが、修徳学区の場合は「景観づくり」をメインに行っています。観光地であれば、建物の外観を綺麗にすると訪問者が増えたり売上がアップしたりと、分かりやすいメリットがありますよね。ですが、ここ修徳は静かな住宅地。景観を整える活動を通し、新しく住む人を歓迎して、町内の方々に仲良くなってもらい、コミュニティをつくっていくようなイメージです。

また、最近「松原チャンネル」というYouTubeチャンネルを立ち上げて、近所の職人さんたちの取材をはじめました。先ほどの研究からも推察されたように、これからはもっと自分の住んでいる地域を大事にする、よりローカルな暮らしが当たり前になっていくのかなと感じています。

最初は、家からの近さだけで選んだけれど…

―GROVING BASEに入ったきっかけを教えてください。

私が助教として着任したのは、昨年2020年の4月から。その後すぐに緊急事態宣言が発令されて、リモートワークに切り替わってしまいました。電車の定期券を買ったばかりだったのに……(笑)

すぐに働く環境を整えなければと、ネットで色々探して、GROVING BASEを見つけました。家からも歩いて行ける距離ですし、ここしかないなと。ちょうどテンプオフィスプラン(短期間の契約プラン)も始まっていたので、すぐに見学に行き、申込みをしました。

―使い心地はどうですか?

最初は正直なところ、家からの近さだけで選びました。ですがここまで続いているのは、温かい雰囲気のおかげだと思います。
少し前は5階をよく使っていましたが、最近は3階がお気に入りです。靴を脱いで作業をしたいので、カーペットが敷いてあるのが嬉しいですね。自分の部屋ではなく、リビングにいるような感覚で仕事をしています。周りにいる方と会話をしていなくても、どこかでふわっと繋がっているような気持ちですね。

―リモートワーク用のオフィスとして使っている会員さんも、他にも多くいらっしゃいます。

私も本当だったら今頃、授業や会議をするために、毎日電車に乗って通勤していたはずですからね。

ちなみにリモートワークについて研究している学生によると、やはり自宅での仕事は大変、と感じている方は多いようです。設備面での問題もありますし、家族や子どもの隣で仕事をするのは気を使いますよね。だからこそ、自宅でもオフィスでもない第三の場所がないと、これからの働き方は担保できないのではないかと思います。以前はカフェがその機能を担っていましたが、セキュリティ面で課題は残りますし、人前で電話やオンライン会議をするのは気が引けますからね。そういった意味でも、今後シェアオフィスやコワーキングスペースは、ますます注目を集めていくのではないかと思います。

まだ誰もやったことがない仕事をしていきたい

―この先の暮らし方と働き方は、どうなっていくと思いますか?

私たちにとって、働く場所と住む場所は、切っても切り離せない問題です。会社が梅田にあれば、出勤できるエリアに住まなくてはいけません。ですが、場所を問わずに働けるようになれば、好きな場所で、好きなように暮らせるようになります。

更に、もう少し未来の話をすると、モビリティの技術が発達すれば、更に暮らし方は自由になります。現在も多拠点生活をされている方は多いですが、一番の問題は移動コスト。ですが自動運転などのモビリティが実用的になれば、寝ている間に目的地に着けるようになるかもしれません。正社員でもどんどん複業が認められていますし、働き方も暮らし方も、この先どんどんと垣根が広がっていくのでしょうね。

―最後に、加登さんの目標を教えてください。

人を育てていきたいと、大学教員になって強く思うようになりました。
どういう人を育てて社会に送り出していくのか、しっかりと考えて実践していくのは、今の私にとって大きなテーマです。

今は授業がリモート中心になっているので、まめに見てあげなければ、と思っています。オンラインチャットでの指示を的確に読み取って判断するのって、大人にとっても難しいことですよね。曖昧な指示が混乱のもとになってしまいかねませんので、一層丁寧に接しようと心がけています。

これから目指すのは、まだ誰もやったことがない研究をしていくこと。そして、世の中の役に立つ仕事をすること。どんどん価値観が変わっていく世の中ですから、自分の信念を大切に、頑張っていきたいですね。

加登遼(かとうはるか)
大阪市立大学 大学院生活科学研究科 生活科学専攻 助教

聞き手:小黒恵太朗(株式会社アイトーン)

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